賃貸併用住宅とは
賃貸併用住宅とは、1つの建物の中に自分が住む部屋と第三者に貸し出す部屋が混在している住宅のことです。
賃貸併用住宅は、家賃収入を得ながら生活ができるので毎月の住宅ローンの返済に充てたり、将来的に二世帯住宅として活用することもできます。
しかしながら、建設費が嵩んだり、融資の審査が難しくなったりするという点があります。
賃貸併用住宅を検討している方に向けて、特徴や収益モデル、メリット・デメリットとあわせて、契約をする前に必ず理解しておくべきリスク・注意点をご紹介いたします。
賃貸併用住宅の収益モデル
賃貸併用住宅の収入は、もちろん貸し出す部分の家賃収入です。
10万円/月で貸し出した場合、年間で120万円の家賃収入を得ることができます。
一方で、もしも空室期間ができてしまうと家賃収入は0円となってしまうので、資金計画とリスクヘッジを考えておくことが重要です。
◆賃貸併用住宅の初期費用
賃貸併用モデルの初期費用は通常の住宅を建てる時と考え方は一緒です。
例えば、3LDKもしくは4LDKの自宅と、同じく3LDKもしくは4LDKの賃貸部分を建てると仮定した場合、だいたい3,000万円~3,500万円ほどの費用が必要となるでしょう。
プランによっては仕様を変更することで価格が抑えられる例も考えられます。
◆賃貸併用住宅のランニングコスト
賃貸併用住宅のランニングコストは、一般住宅の場合に加えて管理費や補修費用などが必要となってきます。
具体的には固定資産税と火災保険がかかります。
その他、賃貸部分の入居者募集や管理を管理会社に依頼するのであれば管理費、そして入居中や退去時に補修費用が発生します。
これらの費用は概算とし賃貸収入のおよぼ10%ほどを見込んでおくとよいでしょう。
また、不動産所得として所得税と住民税がかかるほか、部屋を増やしたことによる建設費増加分のローン支払いを考慮する必要があるでしょう。
なお、固定資産税については、土地の分は自己居住用分と合わせて支払うのでお得に利用できます。
賃貸併用住宅のメリット
賃貸併用住宅のメリットは以下の4つです。
1. 家賃収入でローン返済ができる
賃貸併用住宅のメリットとして挙げられるのは、やはり賃貸部分の収入で、自宅用のローンの返済ができる点です。
2. 個別に建てるより支出を抑えられる
二世帯住宅の建築でも同じですが、1つの建物内に2つ分の建物と同じだけの部屋を作ると、個別に2つの建物を建てるより支出を抑えることができます。
3. 住宅ローンとして融資を受けられる
賃貸併用住宅は、一定の要件を満たすことで、アパートローンではなく住宅ローンで借入することができます。
一般的に、アパートローンは金利が高く、住宅ローンは金利が低く済みます。
また住宅ローンの方が返済期間は長く、住宅ローン控除の適用を受けることができます。
4. 節税効果が期待できる
賃貸併用住宅には税制上のメリットがあります。
自宅の所有にかかる固定資産税には軽減措置があり、賃貸併用住宅も自宅とみなすことができるため固定資産税の軽減措置を受けることができます。
また、相続税の評価額を減らすことができる点もメリットです。
さらに、「小規模宅地等の特例」が適用できる場合、最大330m2まで80%の軽減を受けることが可能です。
賃貸併用住宅のデメリット
賃貸併用住宅のデメリットには以下のようなものがあります。
1. オーナーと入居者の距離が近すぎることによる弊害
賃貸併用住宅のデメリットとして、オーナーと入居者との距離が近すぎてお互い気を遣ってしまって大変に感じることがあるようです。
ただ、この点に関しては、逆に入居者からすると何かあればすぐに相談できる安心感がありますし、オーナーからすると入居者がおかしなことをしていないか確認できるなどのメリットとなります。
2. オーナーズルームは収益を生まない
賃貸併用住宅では、オーナーズルームは収益を生みません。
2つ部屋があるのであれば、2つ貸せば収益は2倍なので、それだけ機会を逃しているとも言えます。
3. 将来的に売却しづらい
収益物件としても自己居住用としても中途半端と判断され、売却しづらいことが少なくありません。
賃貸併用住宅は日本では一般的ではないことが原因にあります。
ただ、最初から将来的に売却することを想定しているのであれば、最初のプランニング時に売却までを想定したプランニングを立てることが重要です。
賃貸併用住宅を建てるまでの流れ
賃貸併用住宅を建てるまでの流れは以下の通りです。
1. 相談する
賃貸併用住宅を建てるのであれば、まずは当社にご相談くださいませ。
まずは建物の規模や間取り、費用や場所、収益性など、一緒に考えて参りましょう。
2. プランニングする
どのくらいの規模や間取りで建てたいのかなどの相談後、間取りや収益性などについてプランニングいたします。
合わせて資金計画も作成し、無理がなく、そしてお客様の希望がかなえられるように、ご提案させていただきます。
3. 契約する
ご契約後、着工に向けて設計図書作成や融資お申し込みを行い、住宅設備、インテリアコーディネート、照明位置など細かな仕様を最終決定していきます。
4. 建築する
地鎮祭を行った後は、当社が誇る技術者集団の出番。
基礎から棟上げ・外装・内装と着実に施工していきます。
木造住宅であれば期間は4ヶ月程が一般的ですが、規模が大きくなれば半年以上かかることもあります。
5. 入居者を募集する
建築中から、賃貸部分の入居者の募集を始めましょう。
入居者の募集や、管理については、建築を依頼している会社が管理をやっていればそのまま依頼しても良いですし、他の会社を探して契約しても良いでしょう。
6. 建物完成&入居する
社内・社外検査を経て、新居へのお引き渡しを行います。
建築中から募集していた入居者の入居を開始し、家賃の受け取りを始めます。
7. アフターメンテナンス
末永く快適にお住まいいただくため、様々なアフターメンテナンスを行っています。
定期点検が近づいてきたらオーナー様へ封書でお知らせします。
賃貸併用住宅の注意点
自宅に住みながら家賃収入が得られる魅力的な賃貸併用住宅ですが、注意すべき点もあります。
◆間取りを検討する際の注意点
間取りを考える際、まずは「横割り」か「縦割り」かを決める必要があります。
横割りは、建物をフロアごとに区切るイメージで、たとえば、1階部分をすべて自宅に利用し、2階以上の部分を賃貸住宅にするなどが考えられます。
仮に、横割りにして最上階を自宅にした場合、上階からの生活音に影響されることがありませんが、1階部分を賃貸住宅にすることで、物件のスペックによっては家賃を低めに設定しなければ入居者が見つかりにくい可能性があります。
縦割りは、建物を建てに区切るイメージで、各階一部ずつ自宅として利用する方法です。
大家さんは上階、下階を気にせず生活することができますが、室内に階段等を設ける必要があるためスペースのロスが生じてしまいます。横割り、縦割り共にメリット・デメリットがあります。
◆引っ越しが必要になった場合
住宅ローンは自分が住むことが条件となっています。そのため、転勤などで引っ越すことになった場合、金融機関によっては契約違反とみなされてしまうことがあります。
賃貸併用住宅を検討する際は引っ越しの可能性を考慮する必要があります。
◆新たに物件を購入したい場合
住宅ローンを借りて賃貸併用住宅を建てる場合、建築費用は高くなることが多く、その分住宅ローンの借入額も大きくなってしまいます。
住宅ローンの借入額が大きいと、追加で融資を受ける際に借り入れが難しくなることがあるため、新しい物件の購入を検討している場合は注意が必要です。