リビング階段は本当に寒い？高気密高断熱住宅での快適な対策と全知識

2025年12月9日

福山市で注文住宅を計画する際、デザイン性と開放感を両立できる「リビング階段」は非常に人気の高い間取りです。
しかし、「リビング階段は寒い」「冷暖房効率が悪い」といった話を聞き、採用をためらっている方も多いのではないでしょうか。

結論から申し上げると、昔の住宅ではリビング階段は寒さの原因となりやすかったのは事実です。

しかし、現在の高気密高断熱（高性能）住宅であれば、適切な対策を講じることで、そのデメリットを解消し、快適に暮らすことが可能です。

この記事では、リビング階段の寒さの原因を明らかにし、高性能住宅での具体的な対策、そして後悔しないためのメリット・デメリットを徹底解説します。

1. なぜ「リビング階段は寒い」と言われるのか？

リビング階段が寒さの原因となりやすい最大の理由は、空気の性質と家の性能にあります。

暖かい空気は軽いため上に昇り、冷たい空気は重いため下に降りるという性質（温度差換気）があります。

この上下の空気の移動が頻繁に起こることで、特に冬場は足元に冷たい空気が溜まり（コールドドラフト）、LDKと廊下・階段で大きな温度差が発生し、ヒートショックのリスクを高める原因となっていました。

昔の住宅は、そもそも外壁や窓の断熱性能が低く、隙間風を防ぐ気密性能も不十分でした。

そのため、暖房で温めた空気がすぐに外に逃げ、冷たい外気が侵入しやすかったため、階段の開放感がそのまま寒さに直結してしまっていたのです。

現在の高気密高断熱（C値やUa値といった性能値が高い）の注文住宅であれば、家全体を高性能な断熱材で覆い、隙間を極限まで少なくしています。

そのため、家全体が魔法瓶のように機能し、リビング階段による空気の移動の影響を最小限に抑えることが可能です。

高性能住宅でさらに快適性を高めるために、ぜひ取り入れたい具体的な対策は以下の3つです。

これが最も効果的な物理的対策です。

家全体の性能が高くても、階段の開口部から熱が逃げるのを防ぐための「蓋」を設けることで、冷暖房効率を格段に上げられます。

対策の種類	メリット	デメリット
ロールスクリーン	設置が簡単で安価。使わないときは格納できて見た目がスッキリ。	密閉性が低く、熱の遮断効果は限定的。
引き戸・ドア	密閉性が高く、冷暖房効率が最も高くなる。	設置にスペースが必要。常に閉める手間がある。
カーテン・アコーディオンカーテン	開閉が簡単で、設置場所を選ばない。	デザイン性や耐久性に劣る場合がある。

【ポイント】

引き戸を設置する場合、開けたときに邪魔にならないよう、壁の中に収納できる「引き込み戸（ポケットドア）」がおすすめです。

高性能住宅は「家全体を一つの空間」として温めたり冷やしたりする考え方（全館空調）と相性が抜群です。

床暖房の導入: 暖房は足元から温めるのが最も効果的です。リビングに床暖房を導入することで、床面からじんわりと温め、冷たい空気が溜まりやすい足元の寒さを解消できます。
高効率エアコンの活用: 性能の高いエアコンを計画的に配置し、家全体を均一な温度に保つことで、階段の上下で大きな温度差が生まれるのを防ぎます。

空気を循環させることで、リビング階段による温度ムラを解消します。

シーリングファン: 階段の上部など、高い位置に設置することで、冬場は天井に溜まった暖かい空気を下に送り、夏場は空気を循環させて体感温度を下げることができます。
サーキュレーター: 特に冬場、1階の床面に溜まった冷気を攪拌し、温かい空気と混ぜるように使うことで、足元の寒さを軽減できます。

寒さ対策を講じた上で、リビング階段を採用する際の全体的なメリットとデメリットを再確認しましょう。

リビングを通らなければ2階の自室へ行けないため、お子様が必ず親と顔を合わせることになり、家族間のコミュニケーションの機会が自然と増えます。帰宅や外出を見送ることができ、安心感につながります。

玄関ホールや廊下に階段を設ける必要がなくなるため、その分の面積をリビングに取り込むことができ、LDKを広く使えます。また、階段の構造（スケルトン階段など）を活かして、デザイン性の高い開放的な空間を実現できます。

階段下を無駄なく収納（パントリーや掃除用具入れなど）や、ワークスペース、またはペットスペースとして活用でき、限られた面積を最大限に生かせます。

デメリット	対策
冷暖房効率の低下	高気密高断熱化、ロールスクリーンや引き戸の設置、床暖房の導入。
音や匂いの伝達	キッチン側に換気扇の増設や、2階の個室の遮音性を高める工夫が必要です。
プライバシーの確保	来客時、2階へ上がる際にリビングを通るため、プライバシーが確保しにくい。来客動線と家族動線を分離する間取りを検討しましょう。
安全性の懸念	小さなお子様やペットがいる場合、階段への侵入を防ぐベビーゲートの設置が必要です。